アルコール9%

生きるのは辛い。

やりたくないことをして、お金をもらってまでして生きる人生なのかとしばらく考えていた。全く無駄だとは言い切れないけど、自分にとって無駄だと思うのならそれはいらないんだろ。

 

そして仕事を辞める決意をした。もう戻らない決意と一緒に。

"もう戻らない"というのが肝心なところで、例えば転職に失敗しようが、絵が描けなくなろうが、絶対にこの場所には戻らないと決めたのだ。

どうして好きじゃない男性に気を持たせるようなムーブをするのだろう。なぜ知らない他人とさも親しいように会話をするのだろう。なぜ嫌いな人に笑いかけなきゃいけないのだろう。

仕事なら当たり前だけど、それをわたしは耐えられなくなった。

昼間の仕事と違って融通が利くと思ってたのも始めだけだし、どうしたって、もうわたしの手に負えない範囲になってしまった。

いらない人生、必要のない人生、惰性で息しているだけ。自分の許容範囲の仕事内容で金稼げるならいいや。傷ついても知らない。嫌いな人なんていない。

そこで今、突然誰かの人生にわたしが必要とされた。それは精一杯努力したい。この瞬間の幸せになれる可能性を掴みたい。自分の人生どうでもいいくせに、変な希望を持っちゃった。だから、わたしは今あるすべての世界を捨てて、賭けに出る。

上手くいくかはわからない。勇気出すのも、新しいことするのも嫌い、怖い。でも今やらなきゃ後悔するってなんか分かる。

短いスカート、お酒、日の出、嘘、ハイヒール、濃い化粧。全部わたしには必要なくなる。

今のわたしには、ヌルい夜に溶けることが一番いいことなんだもん。

明るい未来、幸せ家族計画、未知なる希望、そんなもん全くない。でも、手を伸ばしてもいいんじゃないか。どうせ死なないんだし、どこまででも高いとこ見ればいいじゃん。

シンクに捨てた9パーセントよりも、わたしの決意の方が強い。

わたしが欲しいもの、全部貰うから。