夏の終わり、午前三時。
元恋人からは相変わらず毎日電話が来る。正直、どのような意図なのかはわからない。
わたしはとったまま放置だった免許証を本来の目的で使うべく車の練習を始めて、ピアスを外し、昼間の仕事に応募した。受かる確率はめちゃくちゃ低いけどね。明日はリクルートスーツを買いに行って、近々髪の毛を黒く染める。
創作活動(て言うほど大それたものではないけど)もデザフェスを最後にフェードアウトしていこうと思ってる。
死ぬことができないのなら、わたしはひとりで生きられるよう努力する。愛されないのなら、わたしは誰も信じない。ちゃんとひとりで生きていく。もちろん元恋人のことはまだ好き。だけど、もう他人に頼ったり、結婚を考えたりなんて、そんな不確定な未来に期待をできるほど綺麗じゃないし。
わたしは傷ついた。二十歳の夏に。
うるさかった蝉はみんな死んで、トンボが空を泳ぐ。夜なんて肌寒い風が吹いて、季節が変わるのを感じる。
夏が終わるのと一緒にわたしの恋も終わった。