ごめんね、午前十時。

 

今日、お酒をあんまり飲まない約束をしたので、わたしはお店で作る梅酒ソーダをすごく薄くして飲んでた。

好きな人が好きと言ってくれる言葉は、本当にすごくて、馬鹿かもしれないけどそれだけで何だってできちゃう気がしたの。

わたしは今日、酔っ払わなくて、アフターでもどれだけ飲んでも酔わなくて、ただずうっと、彼の言った「早く夜の仕事をやめてね」が頭の中をぐるぐるしていた。

今お店はちょこっと大変で、もしかしたらすぐには無理だけど、だけど、近いうちには辞めたいと思っている。

好きな人に言われたからってアホで馬鹿で単純な理由なのだけれど、でも、本当に本当に大切にしたいから。

一瞬のトキメキに溺れちゃうなんて、いつかのわたしには全然想像もできなかった。

 

誰も認めてくれなくて、誰も味方のいないきみの味方をわたしだけがしたくて。

それがいつか、夢を叶えて、味方が増えて、ほかの女の子のところに行くとしても、わたしは今のきみが好きで、わたし自身も今のままじゃいけないと思ってて。

 

ひとりぼっちのきみが、なんかすごく、悲しくなって、iPhoneの充電一%で好きな人に電話をした。

言いたいことは半分も伝えられなくて、ただ泣いちゃったわたしのことも優しくしてくれて、それがまた悲しくて。

電話の最後、「おやすみ」ってやさしいこえで言ったきみに、おやすみってかえして電話の切れた瞬間、画面が暗くなっちゃった。

充電が終わった。

 

ねえ、「月が綺麗ですね」の意味は、頭のいいきみなら本当はしっていたんでしょう?