躁と鬱、午後四時。
外は雨が降っている。
薄暗い部屋の真ん中、布団に体育座りでいる。エアコンは絶えず風を送る。乱雑な机上。隣で眠る彼氏。ねえ、市役所行くって言ってたじゃん。いまお腹が空いたのかどうかわからない。太ったから食べたくない。お酒飲んでるから今なにも食べたくない。しょっぱいお菓子食べたいけど、噛むのが面倒臭い。わたしはなにをしてるんだろう。
この前の躁期に、希望の職場に電話をし、資格のテキストを頼んだ。土曜日に面接で、スーツも買って、やっとちゃんと 頑張ろう と思った。たしかに頑張ろうと思ってた。
鬱の波が来た。
何もかもダメで何もする気が起きない。疲れる。お酒も量を飲めずにすぐに具合が悪いし、ダラダラ朝まで起きてちょびっと寝て起きて仕事へ行く。自分は何もかもだめでクズだと思う。金使いは荒くなり、煙草の本数は増えて、アルコールの抜けていない時間の方が短い。メンクリの予約は手が震えて、症状をきかれたときに、何もわからなくて 不安 と言った。でも時間がなくて結局行くのをやめた。病院に行くというミッションでまた暗い気持ちになるから。時間の感覚が無くなって、どれが、それが、いつのことかわからない。脳みそがしんでいる。
動けなくて布団の上でうつ伏せになっていたら、彼がオムレツの作り方を教えてやるから来いと台所に立たされて教えられた。彼の作ったオムレツは、綺麗に黄色でふわふわでとろとろですごく美味しかった。作り方覚えた?ときかれたので、うん と答えた。ごめんね、きみのせかせかとうごく形のよい手ばかり眺めていたので、実はあまり覚えてないんだよね。