雨と白、午後一時。

 

恋人の家から、実家に帰る。たくさんの心配事と、悲しみも一緒に持って。

同じだったシャンプーの香りを洗い流して、お茶を飲んで一息つくと、なんとも言えない虚無感に襲われる。

頭にこびりついた光景は、アパートの外に落ちているまっ白くて綺麗な蛾、夜の公園で控えめに瞬く星、部屋に横たわる空っぽのペットボトル、君の形の良い足。

全部が過ぎ去って、遠くなってもわたしはそれらを覚えていられるかな。

覚えていたいと思えることが増えるのはとても幸せだ。

くそダセー生き方しよ。頑張っちゃったりしよ。わたしを見下したみんなに、笑顔で中指たててやろ。