非日常と人生、午前五時

 

夜の仕事をしている人は、一見普通に見えてもどうにもできない問題を抱えている場合が多い気がする。昼間の仕事やりたいなあ、病院の受付したいって言ったら、「いや無理でしょ」って言われたので、どうして?と聞くと微笑みながら耳と腕を指差された。

ラブホの天井に点々とくっついている電球を眺めながら、人生こんなはずじゃなかったのになあって思う。だけど、じゃあどんなはずだったのかってきかれても全くわからない。小中高と、大人になった時の自分の想像がまるで出来なかった。OL?学生?全部しっくりこなくて、とにかくそういう風に働いたり生きたりしている自分を想像できなかった。本当に未来が真っ白だった。

どうしてしまったんだろう。小さい頃はピアスなんて痛いもの絶対に開けないって言ってたのにどんどん増えてしまったし、煙草なんて吸わないと思ってたのに今は美味しく感じちゃうし、セックスなんて恥ずかしいことできないと思ってたのにそれよりえげつないことしてるし。痣と傷だらけのからだが鏡にうつるたびに自分は本当にどうしようもない人間だとおもう。こんなはずじゃなかったことしかない。予定通りなのは着々と未来が潰れているということ。ぶちぶちとイヤな音を立てて。

わたし、いつまでこんな仕事するの?いつまで生きてるの?高速バスに揺れられながら、そんなことを考えていた。空が明らむ。もういいや、好きな人のことを考えよう。